既存の事業が安定し、次なるステップへ進むときには事業拡大を検討されることかと思います。しかし事業拡大と一言で言っても、実は非常に危険な綱渡りであるということをご存知ででしょうか？今回は、そんな事業拡大におけるちょっとした知識と成功するための方法を解説・ご説明致します。

• １、そもそも事業拡大とは？
• ①既存事業強化のための事業拡大
• ②新規事業の展開
• ２、事業拡大のリスクの多い中成功を掴み取る３つの方法
• ①今ある人材を軸に考える
• ②分析に時間をかける
• ③売り上げに直結する方法を確立する
• ３、まとめ

1.事業拡大とは？

事業が事業拡大を行う目的は「利益の向上」と「市場規模の拡大」に他ならないものでしょう。しかし具体的なビジョンを持たずにやみくもに規模を大きくしようとしても、いざ事業を拡大した時に痛い目を見てしまうのは明白です。

事業拡大は、大きく分けて２つあります。
一つ目は既存事業強化のための事業拡大、そしてもう一つは新規事業の展開です。

①既存事業強化のための事業拡大

まずこの場合の事業拡大は現代では中小企業から大企業まで、どの企業でも日々行われているものになります。自社で生業としているその業種の規模を可能な限り大きくし、その中でより多くのシェアを獲得するこの方法は市場浸透戦略と呼ばれ、その業界に深く根を張ることでより専門的に深くその会社の規模を広げ、多くの利益を生み出すことが可能になります。

商品やサービスが人気で供給が追い付いていない場合には、増産やスタッフの増員によってサービスをいきわたらせることにより、顧客満足の向上にもつながります。

②新規事業の展開

新規事業に着手する場合の方法は、事業拡大の方法は既存事業の拡大とは全く別のアプローチが必要です。

新規事業の場合、既存事業と異なる収益の柱をつくることになります。関連性が低い市場で事業を始めるには、一から新たに業界知識やノウハウを習得していかなければなりません。また新規事業での業務に時間や労力が奪われると、本業ともいえる既存の事業に力を注ぐことができず、悪影響を及ぼしてしまうことさえあります。

新規事業の開拓にはいくつかポイントがあります。

• ある程度既存事業の拡大方法に似たノウハウを必要とする業種
• 新規開拓する業種が他の企業にまだ浸透していない業種、全く新しい市場
• 従来の事業とシナジー効果・相乗効果がみられる業種

これらのポイントを踏まえれば、事業運営は軌道に乗りやすく、いち早く市場のシェアを得ることができます。
こういった戦略は「集成型多角化戦略」と呼ばれ、市場浸透戦略よりも多角的に運営ができるためリスクの分配が可能となります。

2.事業拡大のリスクの多い中成功を掴み取る３つの方法

事業の拡大は新規開拓であっても既存事業であっても常にリスクが伴います。
スタッフの増員を急ぐあまり、社風に合わないスタッフや必要とするスキルを習得していないスタッフを雇用してしまったり、目先のことばかりに捕らわれ後々トラブルになってしまったりするなど、企業の体制を揺るがしてしまうケースも珍しくありません。大手企業や勢いのある企業でも、一気に評判が悪くなり、最悪の場合、倒産という最悪の事態を招いてしまうこともあります。

消費者ニーズ・自社の対応可能能力を踏まえながら、戦略的に展開を広げていく姿勢が重要です。

①今ある人材を軸に考える

事業拡大のための最も有効な手段の一つは有能な人材を集めることですが、事業拡大の成功にはタイミングも非常に重要な要素となります。事業を拡大するためにやみくもに人員を増やすのは効果的とは言えません。

人材には教育・成長・活躍の段階があり新しく採用した人材が入社したその日からバリバリ働けるわけではありません。最も確実・堅実に新規事業を拡大するためには現状の人材を有効活用していくことです。既存の従業員は、既存事業のことをよく知っていて、必要に応じてチームワークを発揮するための社内での信用や人脈を築いているからです。

新たに人材を増やす際にも、まずは現有戦力を軸にして事業拡大を図るのが得策です。

②分析に時間をかける

新規開拓も既存事業拡大のどちらもとにかく分析することが大切です。例えば、某大手広告代理店では業務時間の割合として分析に9割、制作に1割という驚くべき配分で制作を行っています。この企業のつくる広告の顧客満足度は、他社と比較して圧倒的です。
確かにスピードは大切ですが、

• 市場の消費者はどのポイントでより多く購買しているのか？
• ユーザーのニーズがどこにあるのか？
• どんな宣伝をすれば商品からの離脱が少ないのか？

などの分析を繰り返しデータとして可視化できるようすることで自ずと自社の欠点やライバルとの位置付けが明確になりより円滑に、そして的確に事業拡大が進むことになるでしょう。

③売り上げに直結する方法を確立する

新規事業の開拓をする最も端的な方法として、売り上げに直結するポイントを作り出すことが挙げられます。例え薄利であったとしてもその方法で売り上げが出た時、社員のモチベーションがガラリと変わり新規事業開拓に対する熱量が増してくることでしょう。
そして何より売り上げが上がることそのものが事業拡大の主たる目的であるため、小さな成功を積み重ねより多くのチャンスを得ることが可能となり新規事業が軌道に乗るための道筋が見えてくるようになります。

3.まとめ

いかがでしたでしょうか？多くの企業は成長の過程で事業拡大を考える場面が必ずあります。事業拡大と一言でいえば簡単なことに聞こえますが、タイミングや展開方法など考慮すべき要素は多く非常に複雑なものです。
事業拡大を確実に成功させるため、新規事業の準備や対策は戦略的に進めていくことが大切です。